異本十六 太刀のをがはの

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昔、男はるかなるほどに行きたりけるに、筑紫のつと、人の乞ひたりけるに、色革やるとて、

みやこよりここまで来ればつともなし太刀のをがはのはしのみぞある

所の名なるべし。

現代語訳

昔、男が都から遠く離れた所にいった時、筑紫のみやげを人々が求めたので、色を染め付けたなめし革をやるということで、それに添えた歌。

みやこよりここまで来ればつともなし太刀のをがはのはしのみぞある

(都から離れてこんな遠くまで来ると、ろくな土産もありません。せめて太刀を吊り下げるのに使う革紐があるばかりです)

「太刀のをがは」というのは、筑紫の地名であるのだろう。

語句

■筑紫 九州北部。 ■つと みやげ。 ■色革 色を染め付けたなめし革。 ■太刀のをがは 「太刀の緒革」。太刀を吊り下げるのに使う革紐。それに「太刀の小川」という地名を掛ける。

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朗読・解説:左大臣光永