異本三 かつ見る人

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昔、男女おき臥し物いふを、いかがおぼえけむ、男、

心をぞわりなきものと思ひぬるかつ見る人や恋しかるらむ

現代語訳

昔、男が女と起きても寝ても通じ合っていたところ、何を思ったのだろうか。男が、

心をぞわりなきものと思ひぬるかつ見る人や恋しかるらむ

心というものは道理にあわないものだと思ってしまいました。すでに逢っている人が、どうしてこんなにも恋しいのでしょうか。

語句

■わりなし 道理にあわない。 ■かつ見る すでに逢っている人。

解説

いつも一緒にいる男女が、飽きるわけでもなく、お互いに愛しい気持ちがいよいよ勝っている。ああ心というのは理不尽だ。すでに逢ってる人が、どうしてこんなにもさらにさらに、愛しいのだろうと。ノロケの歌です。もとは『古今和歌集』の「心をぞわりなきものと思ひぬる見るものからや恋しかるべき」(『古今集』巻十四・恋四・題しらず)。歌の意味は「心というものを道理にあわないものと思い知りました。すでにあなたに逢って、思いを遂げたのに、それだからこそ、さらに恋しいと思うなんて」

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朗読・解説:左大臣光永