異本一 降りくらし

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雨のいみじう降り暮して、つとめてもなほいみじう降るに、ある人のがりやりし、

降りくらし降りくらしつる雨の音をつれなき人の心ともがな

返し、

ややもすれば風にしたがふ雨の音を絶えぬ心にかけずもあらなむ

現代語訳

雨がひどく一日中降って、早朝もやはりひどく降っている時、ある人のもとにやった歌、

降りくらし降りくらしつる雨の音をつれなき人の心ともがな

(一日中降りに降る雨の音のように、つれないあなたが、私にずっと気持ちを向けてくれていればいいんですが)

返し

ややもすれば風にしたがふ雨の音を絶えぬ心にかけずもあらなむ

(どうかすると風に吹かれてあちこちになびいてしまう雨の音を、あなたへひたすら一途な私の心と重ねないでください。私はずっとあなたのことだけを思っています)

語句

■がり ~の元。~の所。 ■もがな 願望。

朗読・解説:左大臣光永

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