百十九 形見
■『伊勢物語』解説・朗読音声を無料ダウンロードする
【無料配信中】福沢諭吉の生涯
■【古典・歴史】YOUTUBEチャンネル
むかし、女のあだなる男の形見とておきたる物どもを見て、
かたみこそいまはあたなれこれなくは忘るる時もあらましものを
現代語訳
昔、女が、浮気な男が形見として残しておいた多くの物を見て、
この形見こそ今は辛いものです。これさえ無ければあの人を忘れる時もあるでしょうに。
語句
■あだなり 薄情。浮気な。
解説
これは、現在でもわかりやすい話ではないでしょうか。別れた相手が、何か形見を残していったんですね。この形見さえなかったら忘れられるのに。でも、だからといって捨てることができない。ああ!そんな気持ちです。