百五 白露

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むかし、男、「かくては死ぬべし」といひやりたりければ、女、

白露は消なば消ななむ消えずとて玉にぬくべき人もあらじを

といへりければ、いとなめしと思ひけれど、心ざしはいやまさりけり。

現代語訳

昔、男が「こんなに貴女が冷淡ならば、私は死んでしまいます」と書き送ったところ、女は、

白露が消えるというなら、消えてしまえばいいじゃないですか。どうせ白露を拾い上げて緒を通して飾り玉にしたい人なんて、いないんですから。つまり、貴方を相手にする女性なんていないんですから。

と言ったところ、たいそうひどいと思ったが、男が女を思う気持ちはさらに強くなった。

語句

■かくては死ぬべし 相手の女が冷たいので死んでしまうの意。 ■「白露は…」「玉にぬく」は、露を緒に通して飾り玉にすることで、貴方のことを気遣う人。そんな人はいないという意。 ■なめし ひどい。無礼だ。

解説

「付き合ってくれ。でないと、死ぬ」「じゃあ死ねば」という内容です。女のキツい態度に、男はますます好きになっていくのです。

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