八十八 月をもめでじ

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むかし、いと若きにはあらぬ、これかれ友だちども集まりて、月を見て、それがなかにひとり、

おほかたは月をもめでじこれぞこのつもれば人の老いとなるもの

現代語訳

昔、そう若い人たちでは無いのが、あの人この人友人たちが集まって、月を見て、その中の一人が詠んだ。

世間の人は何かと月を愛でるが、私はたいがいのことでは月を愛さずにおこう。月が重なれば、歳を取るのだから。

語句

■「おほかたは…」 「おほかたは」は、たいがいのことでは。 「月をも」は世間の人は一般に月を愛でるが、その月をも愛さない。

解説

身に詰まれれる一段ですね。同窓会の帰り道、ワイワイ言いながら月を見上げる。もう大概のことでは月を見ても愛でないようにしよう。月が重なれば年となり、年が重なれば老となるのだから…

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