三十五 あわ緒

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むかし、心にもあらで絶えたる人のもとに、

玉の緒をあわ緒によりて結べれば絶えてののちもあはむとぞ思ふ

現代語訳

昔、不本意にも交際が途絶えてしまった女のもとに、

私たちの命をつなぐ玉の緒をあわ緒結びに結べば、いったん交際が途絶えてからもきっとまた逢えるはずです。

語句

■心にもあらで 不本意にも。 ■絶える 交際が途絶える。 「玉の緒を…」 「玉の緒」は玉を貫く緒。また「玉」が「魂」に転じて魂をつなぐ緒。「あわ緒」は不明。結び方の種類か。 

解説

玉をつらねる緒…糸を、「あは緒」によったというのです。「あは緒」とはどんな結び方なのか、不明です。

しかし、なかなかほどけない固い結び方だったんでしょうね。そんなにも固く結んだんだから、私たちの仲は大丈夫だ。今は不本意ながら疎遠になってるけども、きっとまたやり直せるさと、期待をかけた歌です。

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