三十四 つれなかりける人
■『伊勢物語』解説・朗読音声を無料ダウンロードする
【無料配信中】福沢諭吉の生涯
■【古典・歴史】YOUTUBEチャンネル
むかし、男、つれなかりける人のもとに、
いへばえにいはねば胸にさわがれて心ひとつに嘆くころかな
おもなくていへるなるべし。
現代語訳
昔、男が冷淡な女のもとに、
口に出して言おうとすれば、言えない。言わないでいれば胸さわぎがする。心ばかり嘆いているこのころですよ。
臆面もなくよく詠んだものである。
語句
■つれなかりける人 「つれなし」は冷淡。無情。冷淡な女。 ■「いへばえに…」「言えば・えに」。「えに」は動詞「得(う)」の未然形+打消の助動詞「ず」の古い形の連用形。 ■おもなくて 臆面もなくて。
解説
つれない相手に対する、モヤモヤした気持ちを歌っています。