異本八 玉くしげ

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同じ男、女の初裳(うひも)着けるに、釵子(さいし)をこころざしてよみてやれる。

あまたあらばさしはせずとも玉くしげあけむ折々思ひ出(で)にせよ

現代語訳

同じ男が、女が初めて裳を着た時、かんざしを贈り物として贈って歌を詠んでやった。

あまたあらばさしはせずとも玉くしげあけむ折々思ひ出(で)にせよ

(かんざしがたくさんありすぎるなら挿さなくてもいいから、せめてかんざしをしまう箱を空ける時は私のことを思い出しておくれ)

語句

■初裳 「裳」は成人女性が袴の後ろ半分につけるもので、裾を長く引いた衣。「初裳」は初めて裳を着用すること。男性の「初冠」に対応する。■釵子 かんざし。 ■こころざして 贈り物として贈って。 ■玉くしげ 玉櫛笥。かんざしなどを入れておく箱。玉は美称。

解説

ほうぼうから、たくさんの贈りものを贈られているんだろうねと。だから私のかんざしを使ってくれ、とまでは言わないから、箱を開け時くらいは、思い出してくれよという歌です。

朗読・解説:左大臣光永

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