異本十一 むばたまの
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昔、在原の行平といふ人みまそがりけり。女のもとに、
思ひつつ居ればすべなしむばたまの夜になりなばわれこそ行かめ
女、
来ぬ人を今もや来ると待ちし間の名残にけふも寝られざりけり
現代語訳
昔、在原の行平という人がいらっしゃった。女のもとに、
思ひつつ居ればすべなしむばたまの夜になりなばわれこそ行かめ
(あなたを思いながらじっとしていると、どうしようもないです。夜になれば私のほうから訪ねていきましょう)
女、
来ぬ人を今もや来ると待ちし間の名残にけふも寝られざりけり
(来ない人を今も来るだろうかと待っている時間の辛い名残が残っていて、今日も寝られませんでした)
語句
■在原行平 在原業平の兄。七十九段・百一段・百十四段に登場。 ■みまそがり いらっしゃった。居るの敬語。 ■すべなし 手段が無い。 ■むばたまの ぬばたまの。夜・夕・黒などにかかる枕詞。「ぬばたまの」実が黒いことから。「ぬばたま」は檜扇 (ひおうぎ)。
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朗読・解説:左大臣光永
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