異本十 月しあれば

昔、男すずろなる所に行きて夜あけてかへるに、人々いひさわぎければ、

月しあればあらはむことも知らずして寝てくるわれを人やみつらむ

現代語訳

昔、男が何となく心惹かれる所に行って夜が明けてから帰ろうとした所、男が一晩過ごしたその家の人々が色々言って騒いだので、

有明月が明るいので洗うように私の姿がはっきり照らし出されたことに私は気付かずにいた。そのせいで、一晩寝て帰っていく私の姿を家の人が見つけたのだろう。騒がれるはめになってしまった。

語句

■すずろなる所 何となく心惹かれる所。 ■人々いひさわぎれれば 男が一晩通ったその家の人々がいろいろ言って騒いだ。思いがけない男が訊ねてきて、しかも早朝に帰るのではなく、夜が明けるまで家にいたので家の人々に発見されたのである。

朗読・解説:左大臣光永

スポンサーリンク


朗読と解説音声をダウンロード
「初冠」 「芥川」 「東下り」 「狩の使い」など教科書でよく採りあげられる『伊勢物語』の有名箇所11篇を朗読+解説しています。難しい古文の言葉も、耳から聴けば、理解がしやすいはずです。パソコンからも、スマートフォンからも聴くことができます。無料です。

≫詳しくはこちら

製品版を購入
『伊勢物語』全125段を詳細に解説したCD-ROMです。原文と現代語訳朗読、詳細語句解説つき。本格的に『伊勢物語』を学習したいという方へ。パソコンのみの対応です。

≫詳しくはこちら


スポンサーリンク